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音楽の話。from:tokyo, japan

to swing or not (to swing) vol.4

1990~2000年代のストレートアヘッド系企画のvol. 4。今回は昨年作の中から数枚。

Chick Corea / Trilogy

Trilogy

member :

Chick Corea (pf)
Christian McBride (bs)
Brian Blade (ds)

Guest musicians
Jorge Pardo (fl) on "Work" and "Spain"
Nino Josele (gt) on "Work" and "Spain"
Gayle Moran Corea (vo) on "Someday My Prince Will Come"

 巨匠Chick Coreaのトリオ作。日本での発売は2013年だったんだけど海外版の発売が2014年だから含めても良いよね。

 ワールドツアーからのいいとこ取りで3枚組計17曲という大ボリューム。ほとんどがヨーロッパでのものなんだけど1曲は日本の札幌でのライブとのこと。Wayne Shorterの『Without A Net』もそうだったけど最近はライブアルバムといってもまるまる一本のライブではなくツアーからの抜き出しってパターンが流行っているんだろうか。

 選曲は"Alice in Wonderland"、"Blue Monk"、"It Could Happen to You"、"How Deep is the Ocean?"、"Someday My Prince Will Come"などChick Corea定番のスタンダードから"Spain"、"Armand's Rhumba"といった自作曲まで知名度の高い楽曲が多くてChick Corea好きも最近ジャズを聴き始めた人も楽しめそう。

 Christian McBrideBrian Bladeという名手を連れてのこのライブ盤は期待を裏切らない反応の応酬でしばらくは聴いてて飽きないくらいのやりとりがあります。僕としてはBrian Bladeがスタンダードや4ビートを叩くのって久しぶりに聴いた気がしたのでそこが一番の聞き所かな。ベースソロの後ろでも様々に仕掛けていく様がとても痛快です。

 録音もよくてそれぞれの奏者のダイナミクスが綺麗に聞き取れるところも好印象。

 

Dayna Stephens / Peace

Peace

member :

Dayna Stephens (sax)
Brad Mehldau (pf)
Julian Lage (gt)
Larry Grenadier (bs)
Eric Harland (ds)

 本人の知名度とはうらはらに過去のリーダー作でもJohn Scofield、Aaron Parks、Taylor Eigsti、Ambrose Akinmusire、Charles Altura、Gerald Clayton、Joe SandersといったジャズマンからGretchen Parlato、Becca Stevensといったボーカリストとも共演してきたサックス奏者Dayna Stephensの最新作。Julian LageとEric Harlandは過去作でも共演していたメンツ。

 "I Left My Hearts in San Francisco"、"Body & Soul"、"The Good Life"といったスタンダードや、タイトルにもなっているホレス・シルバーの"Peace"、デイブ・ブルーベックの"The Duke"などオリジナル曲は無しのバラード集で計11曲。

 アルバムは全曲に全員が参加してるわけではなくベース&ギターとのトリオやカルテットなど様々な組合せで構成されているけど、どの組合せでもDayna Stephensはセンターでビシッとソロをとっているしそれを食う勢いのBrad MehldauとJulian Lageやバック陣のやりとりも面白い。とくにJulian Lageはここ数年色んなアルバムで様々なプレイスタイルを見せているけれどここでのバラードプレイはそこに新たな一面を加えている。

 せっかく良いメンバーなんだからこのバラード集だけで終わらせてほしくは無いのだけれど、Daynaは2月にクリスクロスからWalter Smith III、Harish Raghavan、Aaron Parks、Mike Moreno、Rodney Greenといったメンツでもアルバムを出すとの事なのでそちらにはそういうプレイも期待。

 

Kenny Barron & Dave Holland / Art of Conversation

Art of Conversation

member :

Kenny Barron (pf)

Dave Holland (bs)

 ベテラン同士のデュオ作。これぞストレートアヘッドといった感じの誤魔化し無しの真剣勝負の様な空気かと思ったら想像よりもずっと落ち着いたアルバムでした。

 スタンダードの"Segment"、"In Walked Bud"、"Day Dream"以外はそれぞれのオリジナルで計10曲。

 Dave Hollandといえば2013年の『Prism』のような過激なプレイを想像していたけどここではウッドベース一本。Kenny Barronが激しくあおっても落ち着いたプレイで寄り添っているようないないようなDave Hollandの演奏はまさに白眉。一方のKenny Barronも高速のプレイに一辺倒になることなく程よい緩急でオスカー・ピーターソン風にもモンク風にも弾き分けていて流石ベテラン同士のデュオ作といった感じ。

 すごく今更だけどこの一枚でDave Hollandを見直しました。間違いなく今回の3枚のなかで一番スイングしてます。録音もとてもクリアでウッドベースの質感がとても綺麗。

 

 

Trilogy

Trilogy

 
Peace

Peace

 
Art of Conversation

Art of Conversation