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音楽の話。from:tokyo, japan

90年代生まれによるジャズフェス『Jazz Summit Tokyo』に寄せて。

最近TwitterFacebookでちらほら見かける『Jazz Summit Tokyo』というイベント。

「90年代生まれのアーティスト」を中心としたこのイベント際して、同じく90年代生まれのジャズライター端くれの僕が90年代生まれ、つまり僕ら世代にとってのジャズについて考えてみました。

90年代生まれのアーティストを中心とした
ジャズ&アートフェスティバル『JAZZ SUMMIT TOKYO』。
ジャズ / アート / ファッション / テクノロジーの分野で活躍する
ミュージシャン、アーティスト、ファッションデザイナー、メディアアーティストらがコラボレーションし、
日本のジャズ・シーン、ひいてはカルチャー・シーンに新風を吹き込む。

2015年8月、JAZZ SUMMIT TOKYO FESTIVAL 2015 開催決定。

90年代生まれとジャズ

「90年代生まれ」について、最もわかりやすく一般に伝わる人って誰だろうと考えてみると、懐かしのドラマでいうと『14歳の母』の志田未来(93年)、『人に優しく』須賀健太(94年)、あとは神木隆之介(93年)とか。ジャニーズでいうとKAT-TUNよりしたのHeySayJUMPとか、海外だとジャスティン・ビーバー(94年)とか。(93年生まればかりなのは何を隠そう僕が93年生まれだからだ) 

 

色々浮かんだけれど、今はやっぱりきゃりーぱみゅぱみゅ(93年)かなと。

 きゃりーぱみゅぱみゅだって一歩間違えば?Jazz Summit Tokyoの一員だった可能性がある

 

とまぁ前置きはこのぐらいにして、ジャズにおいて90年代生まれがどんな立ち位置・背景にあるのか考えてみる。 

 

僕がジャズの仕事で会った人に世代を説明するのによく使うフレーズは、

「生まれた時にはマイルス・デイビスは死んでいて、ジョシュア・レッドマンがデビューしてました。」

というフレーズなんだけどひとまず僕達が生まれた時代、90年代ジャズのトピックを整理してみよう。

 

大きなトピックとしては

くらいだろうか。

ここにさらに80年代後半からのM-Baseの活動の活発化を加えてもいいかもしれない。ライブ・アンダー・ザ・スカイ終了の裏で93年に横浜ジャズプロムナードが始まったこと、88年にブルーノート東京が出来た事も考えると、ジャズにとって実にふわっとした時期だったことが伺える。最近90年代ジャズの空洞化みたいな事がよく言われるけれど、ジャズが生きているような、死んでいるような、まさにそんなさなかだ。ちなみに僕の感覚としては生まれた時にはフュージョンはほとんど死んでいた

 

日本国内の音楽に目を向けると(ここからはかなり僕の主観も入るけれど)、90年代の渋谷系ブーム、小室系ブームはほぼ記憶が無い。当然レア・グルーヴとかヒップホップのサンプリングネタとしてのジャズ、にもあんまり実感が無い。一番最初のテレビの音楽スターはモーニング娘。(97年デビュー)や浜崎あゆみ(98年デビュー)という人が多いのではないか。

そして小学校の途中でバンドブームが来る。ここでいうバンドブームはGOING STEADYとかHi-STANDARDの青春パンクではなく、BUMP OF CHICKEN(00年デビュー)とかASIAN KUNG-FU GENERATION(02年デビュー)とかのいわゆるロキノン系のブームだ。あとヒップホップでいうとRHYMESTER(01年デビュー)とかね。

 

ジャズは高校、あるいは大学から始める人が多いと思うんだけど、一番上の90年生まれだとしても高校入学が2005年、大学入学が2008年。高校に入学した時にはロバート・グラスパーブルーノートからデビューしていたし、大学に入る頃には初音ミクがブームだった。

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そして『スウィング・ジャーナル』誌の休刊が2010年。93年生まれの僕は大学に入った時にはもう無かったのだ。 

 

こんな中で「どこでジャズに出会うの?」と僕でさえ疑問に思うのだけど、90年代生まれの親世代は60年代生まれだったりするわけで、それってウィントン・マルサリス世代。あるいは今ピットインとかに出ている中堅~ベテラン世代にあたる。そしてそのちょっと上世代はジャズ喫茶ブームとかを経験していたりと、僕も同世代に話を聴いてみると、親がジャズを聴いているってケースがすごく多い気がする。(そして僕もその例に漏れない)。あとは映画『スウィング・ガールズ』(04年公開)とか、意外に多いのが東京事変(04年デビュー)

 

ちなみに話がちょっと脇道にそれるけれどYouTubeがサービスを開始したのが2005年Googleがそれを買収したのが2006年。Facebookが2004年、Twitterがサービスを開始したのが2006年、ニコニコ動画のサービス開始が2006年。いわゆるインターネット・ネイティブ的な世代とも言えるだろう。

 

 

こんな風にして見てみると、ジャズに親しんでいる人からすると思ったより新世代なんじゃないだろうか。「東京事変からジャズに入りました」とかいうとすげぇ邪道みたいに思われるかも知れないけど、90年代生まれは50年代のブートから昨日のスモールズまでYouTubeで見れるし、気になったミュージシャンにTwitterで直接話しかけられるという事が当たり前の世代なのだ。音楽をディグしていく事に関してはインターネット・ネイティブのこの世代の方が下手したら長けているかもしれない。

 

で、90年代生まれのジャズ・ミュージシャンって上手いの?

ジャズ・ミュージシャンたるもの「やっぱり演奏だろ!」という事でJazz Summit Tokyo中心メンバーの参加している動画を探してみた。というかまずYouTubeで検索して動画が出てくるのが偉い。日本のジャズミュージシャンって知りたくても音質が悪いものとかいまいちかっこ良くない動画が多い気がしていたんだけど。最近はアメリカのみならず日本でもジャズでMV・PV的なものを作ってるレーベルも多いしこれは好印象だ。

そして90年代生まれといってもすでにプロとして活動している人も多数。井上銘くんとか石若駿くんはすでにトッププレイヤーの一人だ。

 

気鋭のギタリスト井上銘くんはもはや載せなくてもいいんじゃないかな?って思いながらも載せます。

 

言わずとしれた"東京ザヴィヌルバッハ"の人力スペシャル。ドラマーはいま引っ張りだこの石若駿。

 

サックスと打楽器?の路上デュオ。

 

大御所ドラマー:アキラ・タナと90年代生まれミュージシャンのセッション。ピアノの幹子ちゃんは最近鈴木勲のOMA Soundにも参加しているみたい。

 

サックス×サックス。なぜかトンネル。この2人はアニソンをジャズカバーしてニコニコ動画から人気を得てCDまで出したLowland Jazzのメンバーでもある。

 

アメリカの現代ジャズオールスター的なSF JAZZ COLLECTIVEのカバーバンド。曲はEric Harland曲。

 

終わりに

90年代生まれとジャズ、いかがだったでしょうか。

僕は同世代としてだけじゃなく「90年代生まれすげぇぞ」って思うけどね。

なんとなく「こういう世代なんだな」って思ってもらって、あとは音で判断して貰うことをミュージシャンは望んでいると思います。

Jazz Summit Tokyoは8月に大きなフェスを行ったり、アーティストのインタビューを行ったり、クラウドファンディングも行っているようなので興味のある人は覗いて見てください。

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