20160511
最近は外出した時にイヤホンで音楽を聴く、というのをすっぱりやめていて電車の中では本を読むようにした。『乳と卵』の独特なリズムが上手くハマらず苦手だと思っていた川上未映子の『すべて真夜中の恋人たち』を読んでみたらスラスラ読めてしまったから不思議だ。Tim O'Brienの『世界のすべての七月』も良かった。死ぬまでにこれは原文で読んでおきたい。ブックオフも大きな街だと商品の回転が早くて行く度に違うものに出会えるのだけれど、一度見送ったら一週間もしないうちに無くなってしまう事も多々ある。
外や電車の中で音楽を聞かないとなると「よし、音楽聴くか」と音楽を聴く時間を意識的に作ることになるんだけど、これはなんだか忘れていた感覚のようで楽しい。ただ、聴きたい新譜の量を考えると休日を使って「音楽を聞き続ける日」とか作らないと消費しきらないなと思う。これはその前のメモ書き程度。
トランペッターTheo Crokerの新譜『Escape Velocity』。どうしても「紀律」という刺青が気になる。誤字かと思って調べたらそういう書き方もあるらしい。Marcus Stricklandの新譜に近い方向性なんだけど、よりエディットを加えることに躊躇がない。というかそれ有りきで作られているような気がする。ネオソウルが好きな人はハマりそう。ディー・ディー・ブリッジウォーターが一曲参加。
現代ブラジルのシンガーTatiana Parraと何故か最近インディークラシック系の人みたいになったアルメニア出身のピアニストVardan Ovsepianのデュオ第二弾『Hand in Hand』。コロコロ変わって行くリズムのモチーフと、両者のメロディセンスが抜群。歌詞を聴かせたいというよりは楽器同士のセッションのような感覚。両者とも独特なタイム感をもってるだけにユニゾン箇所は奇跡みたいに思える。
イケメンかと思ったら女性だったドラマーのバンドAllison Miller's Boom Tic Boomの新譜『Otis Was A Polar Bear』は、全然ドラマーのリーダー作っぽくなかった。Kirk Knuffke, Ben Goldberg, Jenny Scheinmanというフロントを揃えてひねくれた民族音楽っぽいこの感じはBen Goldbergのリーダー作に近い感触。Myra Melfordのピアノも良いスパイス。
映画『Cu-Bop』で大活躍したピアニストAxel Tosca Laugartのセルフタイトル作。ラテン色はかなり控えめで普通のコンテンポラリージャズとして聴ける作品だった。一曲グラスパーのカバーも。そう考えるとコードの進行感はグラスパー以降っぽいというかかなり影響を受けてそうではある。パーカッションの入り方とミックスがなんだかラテンっぽい。ラテンっぽいミックスってなんだ。
Mary Halvorson、Michael Formanek、Tomas FujiwaraによるトリオThumbscrewの二作目。このトリオだと前作同様にフリーにいかずに楽曲を大切にしながら即興の極限に挑むところがクール。Michael Formanekが鍵っぽい。
今年はECMも面白いのが多かった気がするけど、雰囲気に騙されてはいけない。最近はジャズ意外になかなか手がまわらないんだけどRadioheadとJames Blakeの新譜は面白そうだから聴こうと思う。そういえば相対性理論も新譜がでたんだっけなとか考えているうちに休日が終わってしまう。