maigo-music

音楽の話。from:tokyo, japan

to swing or not (to swing) vol. 2

1990~2000年代のストレートアヘッド系を紹介する企画の第二弾です。
前回はこちら→to swing or not (to swing) vol, 1
一応ちょっと梅雨を意識したり意識しなかったり。

 
Cyrille Aimee / Live at Smalls
Live at Smalls
member :
Cyrille Amiee : Vocals
Roy Hargrove : Trumpet
Joel Frahm : Tener Saxophone
Spike Wilner : Piano
Philip Kuehn : Bass
Joseph Saylor : Drums

rec :
September 26 & 30, 2010 at Smalls Jazz Club, NY
(Smalls Live SL0018)

このアルバムはスタンダードナンバー"September in the Rain"から始まります。
ボーカリストCyrille Amieeはモンクコンペでもファイナリストに残った実力派。
ジプシーライクな『It's A Good Day』(2013)は多分Jazz the New Chapterにも紹介されてました。ライブではサンプラーを用いて一人でステージを行ったりと色々してる人ですね。
このアルバムはSpike Wilnerの"East Village Inamorata"をのぞいて全曲ジャズ・スタンダード。
ラストの"Stand By Me"では前述のサンプラーを用いたソロ演奏も聴けます。(多少の蛇足感はありますが)

アルバムは変なキメや凝ったアレンジといったところもなくすごくベーシックでスタンダード。しかしだからこそ演奏の上手さが際立っているように思います。
初めて聴いた時ベーシストもドラマーも聴いたことがないメンバーだったのであなどっていましたが演奏を聞くとめちゃめちゃうまかったので「このクラスが無名ってニューヨークすげぇな」って思ったのを覚えています。ちなみにピアノのSpike WilnerはSmalls LiveシリーズのプロデューサーでもあるいわばSmallsのボスで、彼の演奏は意外と音盤になってないのでちょっと貴重です。

聴きどころはなんといってもRoy HargroveJoel Frahmという豪華メンバーの二管!と言いたいところですが僕としてはバックの三人の堅実な演奏が好みですね。管の参加しない#3"Yesterday"ではSpikeの炸裂するピアノが聴けます。
あとなんといってもCyrille Amieeが全曲スキャットソロをとるんですがそれが本当に管楽器顔負けって感じでめちゃくちゃうまいです。これは最近のイメージしかない人には意外かもしれない。
Norah Jones以降のジャズボーカリストってあんまりモロなスキャットソロとかしないイメージだったのでこれは好きです。




Joe Lovano and Hank Jones / Kids: Duets Live at Dizzy's Club Coca-Cola

Kids: Live at Dizzy

member :
Joe Lovano : Tener Sax
Hank Jones : Piano

rec :
Recorded live on April 27 & 28, 2006 at Dizzy's Club Coca-Cola at Jazz At Lincoln Center, NYC. 
(Blue Note)

言わずと知れたジャズ界の重鎮Hank JonesJoe LovanoのDuoでのライブ録音。
しっとりした雨の日に本でも読みながらかけたら最高です。
僕のJoe LovanoのイメージはなんといってもBill FrisellとのPaul Motian Trio!という偏ったイメージが先行しているのですが、ここでの彼はすごくオーソドックスなスタイルでソロをとっておりHank Jonesのピアノとあいまってすごく気持ちのよいスイングを聴かせてくれます。

聴きどころはやっぱりHank Jonesストライドプレイが心地よい一曲目"Lady Luck"ですかね。
取り上げられる曲はどれもスタンダードなんですがふたりともベテランらしく様々なスタイルを見せつつも自然と笑みが溢れるようなリラックスした雰囲気をもった一枚。





Enrico Pieranunzi / As Never Before
As Never Before

member :
Enrico Pieranunzi : Piano
Marc Johnson : Bass
Joey Baron : Drums
Kenny Wheeler : Trumpet, Flugelhorn

rec :
Recorded in Ludwigsburg on 30 November, 1 December 2004 at Bauer Studios
(Cam Jazz CAMJ 7807-2)

気鋭のピアニストEnrico PieranunziのトリオにECMからリーダーアルバムを出し、ビッグバンドも主辞するトランペッターKenny Wheelerを迎えた作品。
Enrico PieranunziはScott Colley、Antonio Sanchezとのトリオもいいですが、僕としてはこのMarc Johnson、Joey Baronのトリオのほうが好みかな。

曲は全曲メンバーによるオリジナルでしっとりと透明感の在る曲が続きます。こういうサウンドにKenny Wheelerのフリューゲルホルンはすごく合いますね。このアルバムもどちらかと言うとECMよりなんですがやってることは割とわかりやすくて、ドラマーがJoey Baronだけど割りとスウィングしています。中でもミディアム~バラードで聴ける彼のブラシワークは最高。Enrico Pieranunziもダークな方向には行かずひたすら美しいレイヤーを重ねていくようなピアノを聴かせてくれます。

僕としてはKenny WheelerってすごくSteve Swallowと通じるところがあって、それは主にシンプルだけど美しいフレーズのりフレインで作られる楽曲群によるものなんだけど派手に暴れ回らずにしっとりと聴かせてくれるトランペットは本当に美しいです。
コンボでのKenny Wheelerでは他にもLee KonitzBill Frisellと組んだリーダー作『Angel Song』や、John AbercrombieMarc CoplandのDuoに参加した作品なんかがお気に入りです。

Kenny Wheelerが入った動画が見つからなかったのでトリオメンバーでのしっとりとした演奏を。