Jakob Bro / Gefion
member:
Jakob Bro - Guitar, Composition
Thomas Morgan - Bass
Jon Christensen - Drums
Jakob Broというギタリストをはじめに聴いたのはPaul Motianのバンドだったと思う。ギターのストラップを長く下げいわゆるジャズ・ギタリストとは違う風貌でギターを弾く姿が印象に残っている。当時Paul Motianのバンドにはギタリストが3人いてSteve Cardenas, Ben Monderというベテランに並んで抜擢されたのがJakob Broだった。
自身のバンドでも毎回Bill FrisellやKurt Rosenwinkelといったギタリストと共に演奏している彼、ギタートリオとしては2008年の『Who Said Gay Paree?』以来となるが、ほぼ全曲がスタンダード曲だった前回と違いオリジナル曲のみ、そして名門ECMからのデビュー作となる。
ちなみにタイトルの"Gefion"とは北欧神話における耕作の神らしい(Gefjon - Wikipedia, the free encyclopedia)
僕はJakob Broの魅力はやっぱりアンサンブルの背景を担うようなペインター的なプレイだとこのアルバムで確信した。それはこれまでの自身のアルバムやPaul Motianバンドでのギタリストが複数いる状態でのプレイでも明らかだったが、このトリオにおいては「必要な音以外は弾かない」と称されるほど音数の少ないベーシストThomas Morganのプレイにも大きく影響を与えているようにも思う。Jakob Broと同じく空間に色を付けるような役割を果たしているのがベテランドラマーのJon Christensenだ。Jon ChristensenはKeith Jarrett、Ralph Towner、Jan Garbarekらと共に70年代からECMに作品を残している。もともと少ない音数でディレイやリバーブなど空間系のエフェクトを多用するJakobのプレイはECMのリバーブにもマッチして浮遊感のある空間を演出している。
このアルバムでは演奏者あるいは演奏の中に前景と背景といった区別がほとんど無い。ソロとテーマの区別もほとんど無い。Jakobのプレイがメロディのような気もするしThomasのプレイがメロディのような気もする、そんな瞬間がずっと流れていくというじんわりとしたアルバムだが、この空間がとても心地よい。
バリバリのソロをとるようなジャズギターとは全く正反対のスタイルとしてこれは確実に一つの完成形だと思う。
BALLADEERING (バラッディーリング)(直輸入盤・帯・ライナー付き)
- アーティスト: Jakob Bro (ヤコブ・ブロ)
- 出版社/メーカー: DISKUNION JAZZ(原盤DENMARK)
- 発売日: 2009/12/19
- メディア: CD
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