イスラエル・ジャズの夏が来た
イスラエル・ジャズと言えば、4月末に出たShai Maestro『Untold Stories』はまさに待ちに待ったアルバムでした。Mark Guilianaの『Family First』にも参加と話題が尽きない彼、前作『The Road to Ithaca』も来日ツアーも素晴らしかったし、しかもこの夏また彼は日本ツアーを行うという。
しかしイスラエル・ジャズは彼だけじゃない。そしてなんだかこの夏はイスラエル・ジャズがアツいです。
新譜がアツい!
実は今年の前半はイスラエル系ミュージシャンの新譜ラッシュでした。
Avishai Cohen(b)やShai Maestroはもう色んな所で取り上げられていると思うので今日はそこ意外を紹介します。
まずはAvishai Cohen(tp)とOmer Avitalらが中心となって活動しているユニットThird World Loveでピアノを弾いていたYonathan Avishaiのピアノ・トリオ作。Third World Loveでも見られるようなジューイッシュな演奏と往年のビバップ・ピアノをバランスよく混ぜた面白いスタイル。いわゆる「イスラエル・ジャズ!」って感じ(伝われ)から心地よくスウィングする曲まで。アルバムではエリントン曲も取り上げています。
ちなみにThird World Loveでの演奏はこんな感じ。
続いてもピアニストOmer Klein。僕は前作とそのツアーですっかりファンになってしまったんだけど、他のピアニストに比べるとクラシックとフォークっぽい響きの曲が多い。これは多分彼のタイム感が独特な事も大きく影響していると思う。スウィングではない独特のリズムがもの凄く楽しいです。イスラエル系のピアニストは本当に楽器自体のコントロールがすごいです。ものすごく「楽器が鳴ってる!」って人が多いので是非ライブで観ることをおすすめします。
なんとなく僕の中で彼は「インテリっぽいな」と思っていたんだけど(見た目である)、検索したらTEDで喋ってる動画も出てきました。
続いてはサックス奏者Oded Tzurの初リーダー作。ピアノにShai Maestro、ベースに今年Inner Circleからリーダー作もリリースしたギリシャ人ベーシストPetros Klampanis、イスラエル系ドラマーと言えばこの人ってくらい引っ張りだこのZiv Ravitzという布陣でEnjaからデビューです。
一曲一曲が長めのコンポジションだけど、息のあったメンバーの力でじわじわと聴かせてくれます。正直サックスの腕にまだまだ伸びしろを感じるけれど、アルバムでこういう感じのアーティストに限ってライブで見るとすごかったりするんだよな。(Omer Kleinは正にそうだった)僕はShai Maestroがダウンジャケットを着てレコーディングしている事に驚きを隠せません。
最後はコーエン兄弟の紅一点、クラリネットのAnat Cohen。このアルバムはこの夏の愛聴盤になりそう。というのも、今作のテーマはなんとブラジル(!)。ミルトン・ナシメントからの影響を語り、収録曲はウェイン・ショーターとの『Native Dancer』からの曲やバーデン・パウエルに捧げる楽曲、さらにはフライング・ロータスのカバーまで。参加ミュージシャンもJason Lindner、Gilad Hekselman、Joe Martin、Daniel Freedmanとツボを抑えてます。
フライング・ロータスの原曲と聴き比べると面白い。しかし『Until The Quiet Comes』からこの選曲ってマニアックすぎるよ!
ライブがアツい!
①Shai Maestro来日!
彼のホームページでこの夏のツアー日程が公開されています。今回はピアノソロでの来日になるみたいです。しかしすごい過密スケジュール....
9/4 (金) ピット・イン / 新宿
9/5 (土) ボディ&ソウル / 南青山
9/6 (日) イントゥー・ザ・ブルー / 町田市
9/7 (月) ル・クラブ・ジャズ / 京都市
9/8 (火) スターアイズ / 名古屋市
9/9 (水) ライフタイム / 静岡市
9/10 (木) スイングホール / 武蔵野市
9/11 (金)
9/12 (土)
9/13 (日) ピット・イン / 新宿
②Avishai Cohen(tp)来日!
毎年恒例の東京JAZZで来日します。しかもレギュラートリオのTriveni。しかも今回はサーキットツアーで東京以外でもたくさんライブをするみたい。これはちょっと書ききれないのでHPをチェックしてみてください。