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音楽の話。from:tokyo, japan

雑記20151125 "アブストラクトな音楽、と "

Mutant [帯解説・ボーナストラック収録 / 国内盤/ Amazon限定ステッカー付] (TRCP190)

年末に向けてあれこれやることがあるって時期にものすごいアルバムが出てきてしまった。今回はArca『Mutant』にからめて、縦軸が歪んだようなアブストラクトな音楽の話。アブストラクトな音楽、聴いてますか?

 Arcaといえば昨年出た『Xen』は僕も年間ベストに選んだし、プロデュース作のFKA Twigs『LP 1』も選んだ(と思う)。エレクトロニックな音楽にそこまで詳しくない僕でも一聴して「こいつはやべぇ!やべぇよ!」と確信した覚えがある。

彼の何が凄かったって楽譜で言う小節線、DAWの画面で言うところの縦線、つまりは時間の区切りがどう考えても歪んでいたところ。普通の人間にはタイム感というかリズム感の様なものがあるから、なんとなく音楽を聴いていてもなんとなくテンポを把握して予測してしまうんだけど、僕の中のそれを見事に裏切ってきたのがArcaの音楽だった。

 

 

 

 そんな彼の新作『Mutant』はやっぱりすごかった。前作同様に細切れにされた素材はもはや何をサンプリングしたのかわからない物の中から、突然クリアに息遣いが聴こえてくる。前作で使われていた音色は明らかにインダストリアルなものだったんだけど、今作は人間の声や呼吸の比重が増した様に思う。そして前作に比べると縦軸の歪みは少なくなったように感じる。僕は彼の音楽のリズムの不明瞭さ、そして人間の鼓動とか理解を超えないBPMが彼の音楽を肉体的にしているんだと思ったけど、今作もすごく肉体的な感じがある。

 

 

 

「肉体的」というのは一つのキーワードだと思う。

 驚いたのは彼がトラックを提供したFKA Twigsが人力でライブをしてしまっている事。Arca本体の音楽に比べるとその暴走加減はさすがに抑えたものになっているとはいえ、明らかに違う時間軸で進行しているような各トラックは人力で再現されてしまった。

 

 

 

それともう一つ。Arcaの音楽は「無機質な音を積み重ねていった結果、肉体的に聴こえる」んだけどその逆のベクトルで「人間の喋る声に音をつけていった結果、無機質に聴こえる」というのがマルチニークのピアニストChassol。この動画ではオバマ大統領の演説に音をつける(ハーモナイズ)という事をした結果、こんな音楽になっている。人間の喋る声に一定の音階とリズムを与えたら音楽的に聴こえるという作品。

 

 

 

一方で前作無機質な音楽を前面に押し出していたOneohtrix Point Neverの新作は、音だけ聞いてポップになった印象があったけれど、このMVで完全にその意図がわかってきた。ファンタジックでメタル。このMVのために作曲されたんじゃないかと思うくらい見事なMV。

 

 

次回はジャズの話も書こう。

 

 

 

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LP1

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