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音楽の話。from:tokyo, japan

Year of Black Music & SSW、今のところは。

Black Messiah

気づけば新年度。そして2015年も1/4が終わったという事でこの四半期の音楽を振り返ってみようと思う。

Year of Black Music

2015年が(正確には2014年の末だけど)D'Angelo『Black Messiah』と共にはじまった、という印象を持っているのは僕だけではないと思う。何と言っても10年以上ぶりの新作。ベースにPino Palladeino、ホーンアレンジにRoy Hargrove、ドラムスにはQuestloveとRobert Glasper ExperimentのChris Daveと参加ミュージシャンも豪華だ。

歌詞の内容や『Black Messiah』というタイトルから昨今のアメリカにおける黒人差別、アフリカン・アメリカンが置かれている状況への糾弾の様にも映るこの作品だが、録音は結構前に行われたらしく真偽は分からない。けれどこの作品のような黒人への啓蒙的な作品がリリースされていく原動力として問題は確かに存在している。そしてそれは日本人である僕達には一生解ること無い感覚だ。

Black Messiah

Black Messiah

 

 

このD'Angeloの直後ということで僕の印象では思ったより話題にはならなかったが、2013年に『Noshing Was the Same』で大ヒットを飛ばしたDrakeもリークからの不本意な形ではあるが『If You're Reading This It's Too Late』をリリースしている。ディスク化はもうちょっと先みたい。

If You're Reading This It's Too Late

If You're Reading This It's Too Late

 

 

新生ブルーノートの顔とも言えるボーカルJose JamesはレーベルオーナーDon  Wasのプロデュースで『Yesterday I Had The Blues』をリリース。日本企画のこのアルバム(!)は世界に先駆けて日本で先行リリースされた。サブタイトルの"The Music of Billie Holiday"の通りジャズボーカリストの偉人Billie Holidayのレパートリーからの選曲で前作『While You Were Sleeping』とは一風変わって、どジャズ。John Patitucci、Jason Moran、Eric Harlandという名手をバックにジャズ・スタンダードを歌い上げた良作は米Down Beat誌で☆5つを獲得。

Yesterday I Had the Blues: the

Yesterday I Had the Blues: the

 

 

そして何と言っても外せないのがラッパーのKendrick Lamar

各地で話題をかっさらった『To Pimp A Butterfly』は参加メンバーの豪華さだけでなくその詞やアートワークに込められたメッセージでも大きな反響を呼んだ。

To Pimp a Butterfly

To Pimp a Butterfly

 

 

どれも面白かったのだけど、最初にも書いたとおり、音楽的なことは分かったとしてもこの黒人、あるいは白人に向けられたメッセージについて、僕たちが理解するのはある程度の範疇の中身だけだ。(もっと言ってしまえば英語の音楽は全部そうだと思うんだけど。どれだけ話せたとしても第一言語じゃないしね。それは今回は置いておこう。)

そしてタイトルのとおり、白人SSWの音楽にも面白いものが多かったのが今年の前半。

 

Year of SSW

昨年はSSW的に結構な当たり年だったように思う。Beck『Morning Phase』、Perfume Genius『Too Bright』、Sam Amidon『Lily-O』、Ryan AdamsRyan Adams』と今でも聴くアルバムが多い。

 

今年ピンときた(というかリリースは昨年なんだけどディスクになったのは今年かな)最初の一枚は、Alan Hampton『Origami for the Fire』

ジャズベーシストとして、そしてボーカルとして活躍中のAlan Hamptonだがリーダー作は前作から続いてSSW路線。温かい歌声がやみつき。

Origami For The Fire

Origami For The Fire

 

 

そしてTobias Jesso Jr.『Goon』

どこか拙いピアノと懐かしいようなメロディ。演奏も含めてどこか幼くも感じるのだけど、なぜだか聴いてしまう一枚。

Goon

Goon

 

 

そして極めつけがSufjan Stevens『Carrie&Lowell』

サウンド的にはすごく柔らかなんだけど、歌詞の内容や意味は深く明るくはない。

アコースティックによった音色は『Age of Adz』みたいなのを期待してた人からは意見が分かれそう。

Carrie & Lowell

Carrie & Lowell